一目でブランドイメージがストレートに伝わる、それがネーミングの役割です。
ネーミングが人々の心に刺されば購買動機に強く訴えかけますから、ヘタな広告は不要とさえ言えるでしょう。ブランディングで重要な位置を占めるネーミングですが、ネーミングという概念が生まれた当初は、CHANELやDiorなど、人の名前をそのまま名付ける方法が主流でした。
人の名前が商品・サービスになっているのは昔のやり方です。
その後、テレビや雑誌の普及によって、視覚的なイメージを伝えるネーミングが増えてきます。たとえば、自動車のブルーバード、クーラーの霧ヶ峰など、商品の特徴をイメージ化した名前が付けられていました。
なるほど、あの商品はそういえば!なんてこともあるでしょう。
ブランディングとネーミングの関係
商品の特徴をイメージ化する手法は今でも多く使われており、現代においても有効です。しかし、時代が進むにつれて、商品の種類が増えてきました。このため、他の商品との違いがストレートに伝わるネーミングが支持されるようになります。
たとえば、トイレ消臭剤の「トイレその後に」や靴下の「通勤快足」など、商品の機能を具体的に表すネーミングが増えてきたのです。
スーパーに足を運んでいただくと、「なるほど」の発見がありますよ。
このように、ブランドのネーミングはおおまかに、イメージ重視型と、機能を伝えるメッセージ重視型の2種類に分けることができます。
だからこそブランディングストーリー
イメージ重視型、メッセージ重視型、いずれにも必要なのがブランディングストーリーではないでしょうか。ブランド名はとにかく、一言で表現しなければいけません。長文で説明することは不可能ですから、その言葉の背景にブランドの物語が隠されているような、膨らみのあるネーミングがユーザーを惹きつけます。
製品やサービスは、開発から販売にいたるまでそれぞれストーリーを持っています。ユーザーはこの物語の世界を知ることで共感し、感情移入しやすくなるのです。
「お〜いお茶!」と言う言葉聞いたことありませんか?
「お~いお茶」のネーミングの由来は、CMで使用されたフレーズですが、伊藤園が、新国劇の島田正吾さんを起用した“お~いお茶” と呼びかけるCMをテレビで放映していました。この放映以来、「お~いお茶」は店頭で、お客様に呼びかけているような親しみが込められ、今も売れ続けています。
また、ヒット商品を生み出し、ネーミングの神様と呼ばれるコピーライターの岩永嘉弘氏が作り出したネーミングに、雑誌の「JJ」「CLASSY」「STORY」があります。
JJは光文社の若い女性向けファッション誌ですが、光文社と言えば週刊誌の「女性自身」が看板雑誌です。この「Josei Jishin」の頭文字からJJという名前が生まれました。その後、30代になった元JJ読者向けの高級でシック雑誌をCLASSYと名付け、さらに人生の歴史を積み重ねた40代の女性にはSTORYという雑誌が用意されているのです。
このように、一連の雑誌シリーズに対しても一つの物語の世界を作り出す手法は、一貫したブランドイメージを作り上げる上でも重要ですね。
顧客心理をくすぐる
ブランドの顔となるネーミングは、プロのコピーライターでも頭をひねるほど難しいと言われます。それほど重要性が高いということでしょう。名コピーライターになったつもりで、顧客心理をくすぐるような素敵なネーミングを考えてみませんか?